この地方制度改革案が施行された場合に想定されるメリットについてまとめてみた。もちろん下記に挙げる以外のメリットも出てくると思うし、デメリットも当然ある。デメリットについてもいろいろ考えたが、それをなくすように案を作ってきたこともあって、私の頭ではいまいち思い浮かばない。ということで、これらはほんの一例ではあるが、紹介したい。

  • 地方公務員を大幅に削減し、それにかかる人件費も減らすことができる。それでいて、削減された公務員の再就職先・働く舞台も確保できる。

 私は、この改正案において移行後の地方公務員のあり方について提案をしましたが、地方自治体の一本化によってどのみち地方公務員の削減は避けられないのではないだろうかと予測しております。また地方自治体としての業務分野は増えるものの、具体的な処理内容については簡便化をするため、そういう意味では自治体としての人件費を抑えることができます。それに削減させられた公務員を、区の行政アドバイザーやNPO等の職員化することで、天下りの批判を受けることなく働く舞台を確保できるようにしてます。 

  • 現行より地域の実情に根ざしたきめ細かな自治が行える。

 現行の行政区分制度よりも、より広域的で実務的な行政区域による地方自治を行うことができるようになります。さらに小規模な行政区を設置し区による広域連合の組織をできるようにしたため、集落地や都市部など多様な居住地形態に柔軟に対応することのできる、きめ細かく住民主体の地方行政を実現することができるようになります。

  • 地方税を減らして、公共サービスの維持ができる。

 地方制度改革では「より住民に近いところに権限と経費をおくべき」ということで、市町村に行政の裁量権限を委譲していき、将来的には都道府県で行っている業務を市町村でもやっていけるようにしたいと言われております。それを推進していくのであれば、従来であれば市町村の財政で従来の業務に合わせて都道府県の業務を行っていくということになります。そこに新しい自治体となる地域で支払われている都道府県税をそのまま従来の市町村税に合わせた上に、さらに地域自治区への一定業務の移管や後述するように人件費などの削減などによって、地方税についてある程度減税しても自治体として自立した運営できるようになります。さらに予算などの情報公開や自治体経営に関するコンサルタントによる経費削減策の提言及びその情報公開によって、地方税の減税も実現することができるようになるでしょう。それでありながら普通地方公共団体による公共サービスは住民レベルで維持することができるわけです

  • 住所を簡略化することができ、宅急便や郵便などの業者における情報処理の効率が上がる。

 この地方制度改革で、現行の自治体の種類を一本化し新しく区という補助的な小さな行政区分を作るということは、住所も全国一斉に変わるものであります。例えば「○○県△△郡◇◇町大字▲▲00-0」とか「○○県△△市◇◇区□□町▲▲00番地」と長ったらしくなっていた住所も「○○郡▲▲区00-0」と大幅に短くなります。そうなると誰でも住所については従来よりも大幅に分かりやすくなり、郵送や宅配などの処理能力も大幅に向上することになります。

  • 投開票作業を大幅に効率化することができ、午後9時ごろまでには大勢が判明するようになる。

 区会を開く日を公職選挙の投票日に、また必ず区会は全員参加を義務付けるようにすると定めることによって、投票率はほぼ100%に近づけることができ、区会の終了後に区内での開票作業を行って選挙管理委員会に報告をするだけで、従来よりも小規模にかつ大幅に開票作業の効率がよくなるようになります。衆議院選挙でも大勢はその日のうちに、さらには午後9時ごろには判明することができるようになります。

  • 社会制度の合理化にも柔軟に対応できる。

 近年は郵政民営化や公共事業の見直しによる合理化や削減など、地方に対する行政サービスの低下がいろいろと懸念されております。それを区をはじめとする地方自治体の政策として、関係機関との調整により委託事業化することによって、行政サービスの低下を防ぐことができるようにします。また、これ以降にも社会情勢の変更によって公共事業が民営化されたり合理化されたりする場合にも、このノウハウで推進していくことによって、スムーズに対処することができるようになりますし、新たなビジネスモデルになります。

  • 普通地方公共団体の存在感を高めることができる。

 都道府県と市区町村との合併という形で普通地方公共団体の種類を一本化することによって、従来以上に地域の中での、または日本という国の中での地方自治体としての存在感が都道府県並みに大きくなります。それに伴い、後述する地域の魅力を現在以上に発信することができたり、新しい地域産業を興して地域経済を強化することができるようになります。

  • 政治家・大学としての運営がよくなる。

 強制一般競争入札の徹底化による地方行政政策の自由競争化区を主体としたコミュニティビジネスをこの改革で取り入れることによって、一般の業者やNPOのみならずシンクタンクや大学なども参画が可能になり、収入源にすることができます。また、政治資金の獲得手段として、政党も参画ができるようにも考えているのですが、選挙での影響などなくす必要があるため、罰則を含めた法整備をしない限りは難しいかと思います。

  • 地域を主体にした自治活動を行うことができる。

 地域自治区を小行政区単位で設置することで、住民に最も身近なところで業務の実施・委託など行政のあり方を自らの責任ですべて選択・決定・制御できるようにし、より住民に近い地域を主体にした自治活動・自治行政を行うことができるようになります。また、地域自治区単位で事業を行うことにし収入を得ていくことにすることによって、特定の地域だけではなく日本全体で小規模地域における地域経済の活性化に貢献します。さらに、業務における受益と負担のバランスも、逐次報告をできるようにして、住民レベルにまで分かりやすくなり、透明な行政も実現できます。

  • 地域の魅力を全国に発信しやすくなる。

 これまで日本全国各地域の良さというのは、TVや新聞などマスコミの関係上都道府県単位でしか伝えられることがなく、基礎自治体単位で発信されるということはあっても日本全国までには至らないということが多くありました。実際、私自身埼玉県の内部についてTVなどでよく取り上げられないせいか、地域としての魅力が感じられないことが多いです。これを自治体を一本化し、各自治体に1つ以上新聞社なり放送局を設置するようによって、自治体単位で地域ごとの文化を形成するようにしていきます。これによって、全国ニュースなどで地域について紹介する機会を対等にすることができ、より濃密に日本の魅力や地域の魅力を発信できるようになります。またマスコミに就職したい人達にとっても、働き口の数が増えることによって従来以上に就職希望に対応できることができるようになり、より細かい地域内での文化の形成や観光などによる地域経済の発展など貢献することができます。

  • 柔軟な国会の選挙区編成が可能になり、1票の格差を是正しやすくなる。

 国会の選挙区について移行後は郡を基本単位としたものとすべき(人工的に足りない選挙区は、合同選挙区とする)としておりますが、区という市町村よりも小さい最小単位の自治体を作ることにより、区ごとのきめ細かい有権者数を把握することができます。また、場合によっては区の境界で選挙区の境界を定めることができるようにすることにより、憲法で求められている一票の格差を是正することが道州制や現行制度よりも柔軟にできやすくなります。

  • 新しい地域社会を生かした産業を創出することができ、地域の活力を高め、強い地域をつくるとができる。

 自治体を一本化し、都道府県などに必要な機関などを前述の報道機関のように従来の都道府県よりもやや小さくした地域に必ず置くようにすること、又は自治体でも多様な事業を展開していくようにすることによって、個々の自治体の個性を生かした多様な地方社会を築くことができます。これを通じて地域の再生を行っていき、地域の経済基盤の強化を図ることによって、地方を主役とした社会を形成することができます。

  • 退職した団塊世代の第二の活躍の場として区やNPOの活動、地域起こしに活用できる

 ここ数年においては、団塊の世代と呼ばれる方々が退職していく時期になってきております。そこで退職後の生活を充実させ生きがいを無くさないように、総合的な地域行政を行う区の設置やその制度に基づく運営、若しくは専門的な行政活動の支援に特化したNPOの設立や参加によって、働きの場を確保しつつ、活躍できる舞台として区やNPOを活用できます。

  • 一本化移行による経済効果を生み出すことができる。

 地方公共団体を一本化するということは、前述の通り日本の全ての住所の切り替えや行政サービスに関するコンピューターシステムの改定などにより、移行に向けて新たな業務が生じることになります。これに伴って名刺の新調やシステム変換の費用など業務が増えることによって新たな需要を生み出し、それに伴う経済効果が予測されます。その額については私自身経済学者ではないので予測はできませんが、経済効果としてはほぼ全国的に与えることはできると思います。

  • 広域連合の活用により、道州制を導入するのと同じ経済効果が得られる。

 従来であれば市町村(一部都道府県が参画しているものもあり)同士で広域連合を形成していたものが、地方公共団体を一つにし、そこから広域連合を利用して道州制にて論じられている「道州」で行うべき事務・権限・政策を施行していきやすくする環境を作ることによって、道州を作るのと同じような環境を形成することができるようになります。もちろん広域連合で取り扱うことのできる行政事務について柔軟に拡充すること(道州制にて論じられている「道州」で行うべき事務・権限など)が前提にはなってくる部分もありますが、認識にとらわれず活用していけば有効にでき、道州制に移行することの代用になります。

  • 司法浪人や政策大学院の卒業生の働き口としての救済になる

 近年司法試験の合格を取っていても働き口がないという司法浪人の問題が深刻化しております。また、公務員試験の受験生やその対策のために入学した政策系大学院の卒業生の活躍の場というのも限られてくるという現状があります。そこで行政アドバイザー制度を創設することによって、こうした司法・行政浪人の活躍の場を確保し、しっかりと資格を生かした職業に就く事ができるようになります。

  • 行政の責任所在が明確になり、自己決定・自己責任の地方行政が市町村合併や道州制を導入するよりも可能になる。

 自治体が一つになり自治区分としても国・郡・区の3つになる点、「一政策、一自治体の責任(広域連合なら加盟自治体の連帯責任)」という行政原理を採用・法定化する点、また国や郡、広域連合、区ごとに行うべき事務を決めて二重行政をなくしていき、それぞれの業務についての責任所在を明確化することによって、行政としての責任所在が国民にとっても分かりやすいものになります。さらに、普通に市町村合併を進めたり、道州制に移行するよりも、政策に関しての自己決定・自己責任の意味合いが分かりやすくなり、スリムでより住民に密接した住民本位の地方行政が実現できます。

  • NPOの社会的価値が増し、活動意義が明確化・活性化する。

 地域自治区で単に自治を行うだけでなく、近隣の区の自治活動の補助のために区で仕事を起こしその収益を区会費に充てることができるようにすることによって、地域内でのコミュニティビジネスが活性化することになります。これによって特定の産業地域のみが経済発展するのではなく、日本全体において新たな地域経済の活性化や産業振興をはかることができるようになります。また、この企画立案や政策立案において大きく働くのがNPOであり、行政アドバイザーを介してコンサルティングを行うことによって、NPOの社会的価値が増し、全国的に活動が活発化します。

  • 地方の税財政基盤を確立し、簡素で効率的な行財政システムを持つ自治体を新たに作ることができる。

 地方自治体を一つにすることによって、市町村税と都道府県税も一つにまとまるので、従来地方自治体の合併によって財政基盤を確立するよりも、スリムでより強固な財政基盤を確立することができます。また、地方の税制も非常に分かりやすくなるため、受益と負担の関係が明確化し、納税者にとっても納税の方法やその使い道などが分かりやすい行政になるとともに、区等住民からの意見をしっかりフィードバックさせたりする制度を作ったり、強制一般競争入札(政策実行に際してはいかなることでも一般競争入札で行うこと)を導入することによって、コスト意識が徹底された納税者の立場にたった身軽で機動的な自治体を作りやすくなります。そして国も広域連合の構成団体として一定の関与をする代わりに国の地方支分部局などの廃止・縮小を図り、「一政策、一自治体の責任(広域連合なら加盟自治体の連帯責任)」という行政原理を採用・法定化することによって、国と地方の行政の重複を徹底的に排除することができます。

  • 地方が総体として国から自立するとともに、各地域が相互に連帯し、個々に自律した社会を実現することができる。

 国と地方が担う行政分野を決定することが前提になりますが、地方自治体が国と平等に行政を担う主体として自立した自治体としての役割にさせること、また広域連合を主体とした広域行政によって、各地域で相互に連帯しながらも、国も含めて個々に自立した社会を実現することができます。また区単位でも国や郡の政策に対する反対署名を提出することができるようにすることによって、より細かい住民単位での世論の把握が可能になり、政策にも大きく反映することができるようになります。

  • 世界に誇れる日本独自の分権社会に転換できる

 この地方制度改革案は日本はもとより世界的に見てもかなり抜本的な改革案であり、「地方分権改革の目指すべき方向性」として唱えられている「地方の多様な価値観や地域の個性に根ざした豊かさを実現する」ことができると共に、「住民本位の分権型社会へ抜本的な転換」を行うことができます。そのため、地方自治体の一本化を行うことによって、財政再建団体になりかけている地方公共団体もその危機を免れることができるようになります。また、NPONGOなどを生かした地方自治制度として世界から注目されます。世界の地方行政制度と比較してみても、独自性や先見性にも富んだものになっているので、先進国としての日本の地位を高めることができるし、21世紀の世界の地方自治政策や自治活動の手本になっていくものと考えます。