ここまで新しい地方自治制度案では、普通地方公共団体が一種類になるに従ってどのような形で膨大になった事務を楽にしていくかを述べてきた。しかし、ここまで述べてきた通りに制度案を実行すると、地方公務員は大幅に削減せざるを得なくなるわけであり、その分失業者も増えてしまうことになってくる。こういうとあれかもしれないが、もし公務員の身分に関わってくることを考える際に、最低限そういうことへの対策を考えていないような提案はするべきではないと思う。また、地域自治区のところで「行政アドバイザー」という人を必ず一人入れるようにするという提案をしたが、それについての説明もしていかなければならない。ということで、今回は地方自治制度案を施行した場合に、余剰となった地方公務員(一部国家公務員も含まれることにもなるが)をどのようにして生活させていくかについて説明する。
 まず、郡が関与する行政事務の具体的な程度について説明しなければならないだろう。自治体でやる事務というのは、許認可など法人設立のため行政による慎重な審査や評価が必要なもの及びその監督と行政指導、行政処分・自治体で所有している施設や物品の管理・職員人事又は財政の管理・警察又は消防行政・諸政策の立案及び施行・価格などの調整・自治体に関する諸データの収集及び管理・他自治体間の連絡調整・議会の運営など様々ある。そのうち、行政審査や行政処分・許認可法人等の監督及び監査・職員人事や財政の管理・価格などの調整・警察又は消防行政・議会の運営など、本質的に自治体としてやっていかなければならない事務を残し、それ以外はNPOや業者などでの入札による全て外部委託契約によって執り行うようにするというのが、原則として考えているものである。つまり、地方公共団体の行政活動はNPOや業者を中心に執行することにし、地方公共団体ではできる限りその入札又は監督業務に限定するのである。イギリスでは、人事や財政管理、ITサービスに関しても入札による外部委託契約での行政サービスを執り行っているようだが、これの成果次第では検討する必要もあるのではと考えている。
 本題に戻す。上記の通り自治体で行う事務だけに限定するとなれば、自治体の職員もかなりの数を減らす必要になってくる。そこで地方制度改革を行う際に地方公務員の人員削減政策も含めて行う必要があるが、まず案をこのように出しただけで一筋縄にはいかないことは覚悟している。これはあくまでも私案であることを理解した上で、この先を読んで頂きたいことをまずはお願いしたい。それよりもいい案があれば、それに従いたい。
 まず、普通地方公共団体の各部署及び行政組織をプロジェクトチームに変更するするように促す。「プロジェクトチームって何だ?」と思う方がいたら、一応長野県で田中康夫氏が知事をやっていた頃に、長野県の行政機構をプロジェクトチームに替えた事例についてを参考にして頂きたい。このプロジェクトチーム制度は、当面事務的な面は変えずに基本的に名前を換えるだけなのだが、チームごとの事業に関して編成した予算及び決算を公表することを義務付けるようにし、自治体を一本化するまで継続することにする。もうやっているところもあるとは思うのですが。そして本格移行後に、プロジェクトチームをNPO法人化(若しくは新規の行政法人とする)し、事業に関して郡内のNPO法人に限定した「指名強制競争入札」によって執り行うことにする。「指名強制競争入札」というのは、従来の「指名競争入札制度」に「強制競争入札制度」というのは「民間であれ自治体直営でやるものであれ最も安いコストで入札した者がそのサービスを実施する」というイギリスの入札制度を合わせたものである。地方自治体の一本化によって、旧自治体を母体とした自治政策や行政処理に関するNPOが出てくるわけではあるが、競争原理に基づいてNPOでよりよいやり方を導けるように切磋琢磨していき一番安くよりよいサービスを提供するようにしていく仕組みにするわけである。指名競争入札にも問題はあるため、矛盾したことを言っていることは承知の上ではありますが。
 しかし、郡であっても発足時にちゃんとした職員がいなければ、ちゃんと機能するわけがない。そこで、全ての地方公務員及び改革に影響する国家公務員の課長級を対象に、編成案にて構成する自治体内で郡発足時の幹部採用試験を行う。この試験で合格した者は、構成団体による広域連合の職員として出向し、組織や事業など郡の業務などに関する基礎作りを担う。この中で郡で行う業務から発足時の郡職員を決め、職員を採用するための試験を行う。採用試験は、広域連合構成する自治体の全ての地方公務員及び改革に影響する国家公務員と新規採用に分けて行い、割合は8:2ぐらいにする。それに合格した人は郡職員として職務に携わることになり、場合によって郡同士での広域連合や区の広域連合に出向して職務に携わる。一方試験に不合格になった方は、所属しているプロジェクトチームから独立したNPOの職員として郡や区の業務を委託して行政事務に携わっていくか、勤続20年以上の方の場合、行政書士となって区の行政アドバイザーになるように薦める。
 行政アドバイザーというのは、区での様々な行政活動や住民からの不服申立てなどに関する支援や助言、各種相談、一部執行など区の住民の生活のための行政的な補助を担う役割である。簡単に言えば、区における何でも屋と言えるだろう。原則として一つの区に必ず一人配置することとし、別の区との兼任はできないこととする。また、行政アドバイザーには業務の性質上行政書士を充てることが望ましいのだが、区の数に対して行政書士の数が絶対的に不足するため、「勤続20年以内の地方公務員であれば、行政書士になる資格を得られる」という行政書士法第3条の規定に従い、勤続20年以内の公務員であれば行政書士になって頂く上で区の行政アドバイザーに就いてもらうようにする。それでも人員不足となる場合は、勤続10年以上の地方公務員に限り特例として行政書士となってもらう資格を持つ事ができるようにする上で、行政アドバイザーに就いてもらうこととする。行政アドバイザー最低給与国で定め手当てなどを郡定めその金額を保証するものとする
 その他に、国鉄民営化の際に設立された国鉄清算事業団を参考に、地方公共団体で生じた借金を国で一まとめにしたものを返済していくための「地方清算事業団」を設立する。この「地方清算事業団」というのは、グリーンピアやかんぽの宿、国民宿舎、厚生年金会館、公共ギャンブルなど年金や簡易保険のような公的資金を遣って建てられたものの、採算が採れずに閉鎖された若しくは閉鎖が検討されているような公共施設を無償で引き取り、反省点を元に運営を行いながら、その収益によって地方債を清算していくための団体である。そこに余剰となった地方公務員を雇っていき、又は近隣の区と協力し合いながら、施設を運営していくということも考えている。
 これ以外のいい案も出てくるとは思うのだが、とにかく移行後の公務員は、路頭に迷わすことなく、全力で職場を確保できるように政策を講じていこうと考えている。
 と、このように自治体を一本化した場合の公務員の進路について自分の考えを述べてきたわけだが、決してこの通りに施行したとしても、影響のある地方公務員の方々全てが結果的に生活が苦しくなったり働き先がなくなったりする場合が発生しないとは言えない。もし私がこの改革の陣頭指揮を執るようなことがあれば、「もし生活が苦しくなったとか言うのであれば、遠慮なく私に訴えてきてほしい!俺はあなた方の生活を絶対に保証するから!」と呼びかけるつもりだが…。